越州窯。
獣の角の内側を刳り貫いて杯とした角杯の系統に連なるもので、端に鴨の首から上の形を模っている。鴨首とその口から吐き出される羽形によって把手の部分が構成され、底から口にかけて徐々に広がる胴は羽文で賑やかに飾られている。ペルシャ金銀器の影響を受け金属器の形成を模したものであり、眼の生き生きとした鋭利な刻、体表に凹凸を施し線刻で装飾する羽毛などの造形力は並々ならぬ陶匠の技が見られる。型抜きによって左右の半分を別々に造り、それらを合わせて成型したことが内面の荒々しい指跡によりわかる。
鴨首の代わりに鳳首・象頭・鳥頭を表わした唐三彩類品は見られるが、青磁作品は稀少であると共に極めて優品である。
参照 : CC-095 、 DK-297 、 CS-112 |