球体の胴には草花文が線刻、肩の前後には鋲止め貼付け、短い注口、弦文を施した鳳首の大型水注遺例。
唐末から五代時代、つまり9世紀〜10世紀にかけて中国各地に多くの窯が開かれ、陶磁器の黄金時代といわれる北宋期への序曲となるわけだが、その詳細・窯など不明な点が多い。この水注もこの時期の作品であるが、窯は定められていない。
鳳首瓶は唐代の伝統的な形と見られがちだが、その後の歴史的過程には空白があり、北宋になって再びこのアイデアが別途考案されたと考えられている。貴族にかわって士大夫の時代を迎えた北宋時代、同じ鳳首でも唐の豊麗さに代わって鋭敏な気分が濃くなったといえよう。こういう意匠は明らかに金属器からきたもので、当時のイスラム圏の金属器にその範を求めたもの。
参照 : CC-003 、 CC-036 、CW-139 |