DK-713 鍍金銀貴石嵌博山炉
時代: 前漢時代(前2世紀) 、サイズ: 高さ20.5cm×横幅19cm、香炉本体/ 高さ19cm×胴径11.5cm
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博山炉は重畳たる岩肌の隙間から立ち昇る煙が山から湧き上がる雲気に見立てられ、室内空間に仙界の雰囲気を与えるものとして漢代に愛好された。

細い軸の上に大きな山が乗る造形には、崑崙山のイメージが重ねられている。岩肌の各所に小さく虎・豹・猪が配されている。金は美しいだけでなくさびないので、永世不滅の霊力を授けるものとして尊ばれた。博山炉は漢から六朝にかけて極めて人気があり多く製作された香炉であり、豆と呼ばれる本体に海上の仙山といわれる博山を象った蓋が付く。
本品は中央の山が高くそびえ、その周りを群山が巡る。香を焚くと孔から煙が少しづつ立ち上り、香気が山の峰を包む。この神秘的で幽玄な趣きを当時の詩人たちは好んで詠んだ。

豆部の雲文の間蓋部には鹿・虎・鳥などが、身部には鹿・兔・虎・鳥などが刻され金鍍金が。間には赤瑪瑙・緑松石が象嵌される。蓋部には3頭の獅子が立体彫刻され鍍金を、底縁には緑松石を象嵌する。盤は中央部を囲んで四神を線刻し鍍金を、鍔縁は三角文で飾り緑松石を象嵌する。本体は銀であり、金・銀・貴石の豪華絢爛たる装飾はまばゆいばかりであり、精緻な細工には人をうならせるものがある。「西京雑記」に記載のある、長安の名工丁緩が作った九層の白山香炉は、本器に類するものであったと思われる。

類品は河北省満城県陸山の中山靖王劉勝墓出土品が知られる。博山炉は日本でも、奈良時代には用いられたとされる。

参照:DK-442DK439DK-097
参照:中国美術全集D 青銅器U










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