長い柄の戈を持つ騎上する騎兵。黒漆上、馬体・騎兵の衣服には朱・黄漆で瑞雲文が装飾される。当時鞍はあったが、鐙はまだ発明されておらず、騎兵の両足は踏ん張りがきかず戦闘力には限界があった。漢代の最も主要な攻撃目標は騎兵で組織された匈奴の軍隊であり、かって威勢のよかった戦車はもはや第一線を退き、輸送用となっていた。漢と匈奴の戦争の規模は小規模でも数万、大規模になると数十万の兵を出陣させ、騎兵による集団戦が主流となり、軍事戦略の転換が図られた。
前漢の文帝・景帝は「馬政」を行い、軍馬の数を増やし、武帝はさらに大宛へ遠征してまで汗血馬(天馬)を求めた。漢は十分な軍馬があってはじめて強大な騎兵軍団を組織でき、匈奴との戦争で勝利を得ることが出来た。当時の軍制を知る上にも貴重資料。尻尾・戈は差込み。古物有霊という言葉を思い出すような生気を感じる。
参照 : WS-080
参照本 : いま見ても新しい古代中国の造形 |