人馬共に鎧甲を纏った重装騎兵の像。耳覆いの付いたかぶとを被り、小札を付けた鎧に身を固めている。手には武器や儀杖の標を捧げ、手綱を持っていたのだろう。簡潔で写生的に表わされた像で、出行に伴なう儀衛の一員に相応しく落ち着いた構えを見せる。細部まで丁寧写実的に表現されており、古代の軍政の研究にとっても重要な価値を持つといえよう。黒陶であることにより一層力強さが強調されている。大同に都が置かれた北魏早期の作品であるが、俑を始めとする北魏の彫塑の写実的で神秘性を持ったその造形性、その卓抜な造形力は東洋の彫刻史上においても特殊な美しい位置を占めるものであるし、北魏の人々の高い趣向性は佛像彫刻がもっている龍門様式と関連無しとはしないであろう。 |