官窯。
口作りは八稜花の切れ込みとし、双耳環を付け三足とする鶏心型。厚く掛かった青磁釉は静謐な青緑色に発色している。不規則に大きな貫入が入り、間には白く輝く細い貫入もみられる。いかにも官窯らしいおおらかさと力強さを感じさせる。
室町から桃山時代にかけて、貫入がくまなく入った南宋官窯青磁を日本人が好んで中国に求めていたことは明末の宋応星が「天工開物」に語るところであり、その声価は特に日本で高いことを述べている。それほどこの種の青磁は我国の審美眼を持つ人々を魅了したものであった。
杭州では良く見られる「紫金土」という鉄分の多く含有した粘土を磁石に調合して黒い素地としたため「紫口鉄足」は生じる。釉面に表れた二重貫入も釉薬と素地との膨張率・収縮率の差から生まれるもので、これも紫金土の粘土質に由来している。また「貫入」といいう語は「官窯」から転化したものとも伝えられ、南宋官窯の特徴が貫入にあると早い時期に知られていたことが推察される。
参照:CC-639、CC-341 |