越州窯。
獣面足の炉体に、鴛鴦を鈕とする蓋がのる。香煙は鳥の口からだけ出るようになっている。鴛鴦は羽毛、台座縁は斜線、側壁は唐草文が炉体縁には唐草文、獣足間と獣足上部には瑞雲が細線刻される。甚だ装飾的な香炉で、驚く程ほぼそっくりに倣した大阪市立東洋陶磁美術館蔵高麗青磁作品(12世紀)、類品のシカゴ美術館蔵青白磁水禽形香炉等が知られるように、当初は周知の形状であったのであろう。なんにしても貴重重要資料の佳品。
炉体は逆にし、内面底に長円形目跡が5ヶと蓋内面と同様の焼きをしている。恐らく、漢代から唐代に見られる鳥形灯と関連があると思われる。鳥の小さな口からゆらゆらと立ち上る香は、士大夫の心身をさぞかし癒したことであろう。香港著名収蔵家惜譲品。
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