官窯。
南宋官窯で好まれた管耳瓶は龍泉窯においても倣製されている。もともとは古銅器の形式を真似たもの。頸の両側に管状の耳が付き、弦文の突起帯が胴の周囲に巡らされている整美の造形。全体に貫入が入る粉青色が抜群に美しい。文飾よりは器形と釉質を尊重した宋時代の作風をこの瓶にも見ることが出来る。
南宋都城杭州に官窯として設置された修内司窯の作と推される。南宋はこうした磁器などの祭器を使って宮廷儀礼を行なった。しかし修内司官窯と龍泉窯の青磁とは基本的な作風はほとんどかわらないので、両者の判別は極めて難しく、今日では作振りの優れた上手の器を官窯製とする主観的な仮説によって類別されているのが実状。両者の関係を解明する上でも貴重作品といえよう(官窯は厚く掛かる釉により、ゆったりとしたおおらかさを、龍泉窯はそう厚く掛けない釉のため、フォルム自体がメリハリの利いた硬質な印象を与えるのが一般的ではある)。
高台の削りは鋭利丁寧、3ミリの幅で均一に仕上げられている。圏足は深く、畳付は露胎して、灰白色の胎土が見える。手にすると30センチ余の外観に対して軽く感じられる。20年余の懇情により、英国著名収蔵家より入手。
参照 : CC-137 |