CC-431 青磁貼花刻花蓋付瓶
時代:五代〜北宋時代(11世紀)  、サイズ:高さ 30cm× 胴径 15.8cm
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越州窯。
灰緑色の釉が半磁器質の胎を覆っているこの瓶は、いわゆる「秘色青磁」の作品。秘色青磁と言うのは越州窯の位置する浙江省で呉越王銭氏が貢品として焼かせた器。秘色青磁の早期の作品は、晩唐期に建立された陜西省扶風県法門寺の地下宮殿から十数点発見されている。越州窯タイプの「原始青磁」は古くは浙江省で殷時代から造られており、これは中国で初めて高火度で焼成された陶磁器といえる。越州窯では木目の細かい磁胎に淡緑色の青磁釉器を生産し続け、10世紀頃にはこの技法は最高段階に達し、北宋時代に入っても焼造は行われている。しかしまもなく青磁の主流は龍泉窯に移行する。

肩には小さい耳が二つ付き、牡丹花を刻花した円形の貼花と瑞雲を刻花する瓜稜形胴部に八稜形。蓋が伴なう気品を醸す造形瓶。磁器が発展する中で、宋代になると中国人にとって主要な生活用品となった。実用の枕・盒のほか、居間のインテリアに使用される高級品も大量に生産され始めた。厳しい薄作りの高台。器底には整然とした細長円形4ヶトチ跡が見られ、全てにわたって神経の行き届いた作品であり、宋磁の魅力を十分に知らしめてくれる佳品。
唐時代において越州窯は陸羽が「茶経」において「類玉」 「類氷」の讃詞で唱い、唐代諸窯の首座にすえられている。しかし唐代越州窯の釉色はよもぎ色で、青翠色となるのは五代時代以降。人間が心を入れて作った作品は時間や空間や民族や国を超えて通じ合う国際語だ。美しき美術品を通じて、過去の人との会話を交わすようなものだ。

参照 : CC-288








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