CC-210 青磁八稜盃
時代: 南宋時代(AD12〜13世紀) 、サイズ:高さ 7.6cm×口径7.2cm
価格: \
南宋官窯。
口縁を八稜形とした小盃。幾分裾広がりの小さな口台からふっくらとした丸味を持って八角形に立ち上がる。整った姿は南宋官窯たる格を備えている。総体に青磁釉が掛かり、郊壇官窯独特の割目の黒い二重貫入が全面にあらわれる。高台畳付の釉を剥いで露胎にしているが、素地は黒褐色で鉄足をなしている。内底の明るく澄んだ青釉は深みもあるえも言われぬ幽玄な色釉であって、官窯の魅力を増している。高台の削りは鋭く細い。正八角形でなく幾分歪みが有る。軽量である。
「二重貫入」は何層にも重ねかけされた青磁釉が焼成後冷却してゆく過程で、黒色の胎まで深く届く貫入と雲母片のように浅く入る貫入を生じさせたため。小品ながら器形と釉色が相まって威厳と風格が感じられる。南宋官窯は首都杭州にあった窯で、北宋の汝官窯と共に中国陶磁の至宝である。南宋時代に優れたやきものを作った窯は全て杭州を中心とした華南・華中の窯で龍泉窯・建窯・吉州窯などであり、北宋官窯・定窯は亡び、汝窯・耀州窯・鈞窯・磁州窯など華北の窯々はいずれも作風が低下、粗悪な雑器生産の民窯となってしまった。
北宋の「清明上河図」の一角に「官窯磁器」の看板を吊るした焼物販売店が描写されていることもって、当時は官窯磁器を民間商人が取り扱っていたと知れることとなった。

参照 : CC-096






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