哥窯。
三足・双耳の香炉。ゆったり大きな貫入は古玉の迷走脈と見て珍重された。米黄色の釉面に、黒褐色・米黄色の貫入が内面にまで全体を被い美事である。いわゆる「金絲と鉄綫」の大小貫入が構成する哥窯と幾分類似する。滑やかな釉肌・美的風格は落ち着きが合って雅であり、双耳の技巧の巧みさが表現され見事である。近時の出土品であり、南宋官窯・郊壇下官窯との関連が考えられる。偶然の貫入を一種の器面装飾としているところに、独特の高度の趣味生活がうかがわれる。口縁・双耳部は釉が薄くなり、足端は露胎して灰黒色で光沢があり「柴口鉄足」となる。南宋時代、士大夫にとっての文房清供には香を焚き、清福を受用する香炉は重要な用具であり、鈞窯・龍泉窯・景徳鎮窯・磁州窯等で多く造られた。
参照 : CC-097 |