越州窯。
僅かに甲盛り状の蓋部に、一本の綾線を突状に内側に牡丹唐草を浮き彫りで、明瞭に描き出す。圏外には2本線と4ヶ所に雲文を線刻している。身部と蓋部の合わせ口上下、揆高台共側面には2本の線刻を施している。高台内は、この時代越州窯の特徴である細長円状の目跡が4ヶ所あり施釉している。「秘色磁」と称せられる御物の器を焼造した越州窯は五代期には庶民が使用できなかったもの。
釉調は滋潤で光沢があり、半透明状の青緑色の美しさは玉肌に通じる。器体は薄造り。牡丹文の手慣れた刀法がもたらす階調は小気味よく、文様に片切彫り独特の陰影をもたらしている。佳品である。
「南青北白」といわれるように、宋のころまでの中国陶磁器は青磁なら南方の浙江省の「越窯」白磁なら北方の河北省の「刑窯」と相場が決まっていた。唐の陸羽が著した「茶経」には「刑瓷は銀に類し、越瓷は玉に類する」とし、越窯は「千峰の翠色」に例えられる「秘色」を褒め称えている。
参照 : CC-113 、 CC-072 |