乾瓦窯。
遼は契丹人の国だけに、支配者の好みを反映して独特の形の器が作られている。この皮嚢壺(鶏冠壺)はその一つであって、最も遼らしさのあふれた壺である。北方民族の力強さと奔放さが感じられる見事な壺。
この形式の壺は昭和の始め日本人研究者によって鶏冠壺と名付けられたが、妥当ではなく中国で名付けているように皮嚢壺、あるいは皮袋壺というべき。把手の一端に腰を据えている二匹の猿。胴部に施された刻線変形パルメット文等見事な着想であって、奥行きのある趣を凝らした素晴らしい作品である。遼特有の明るい緑釉で被われ美しい。ボストン美術館蔵の同作品が昔から知られるが稀少な品。遼の陶磁器が世人の注目をひくようになったのはさして古いことではなく、昭和の年代も10年に近づいてからのこと。広々とした草原を思わす茫洋たる美しさと逞しさが遼の陶器の魅力である。 |