景徳鎮窯。
康煕官窯で焼造された小杯十二客からなる組物の一つ。その中で最も人気が高く高価なのがこの6月杯。青花(染付)と五彩(色絵)で蓮池水禽文をあらわし、楷書体の詩句と印章を模した「賞」字を書き添えてある。光を透かすほど薄い白磁に花と詩を細やかに描く風雅な小杯は、杯の半面を占める詩も鑑賞の対象とされた。十二ヶ月の花は、明朝末期より江南文人社会で盛行した節目「花朝」に関わる意匠。
詩句は「六月荷花 根是泥中玉 心承露下珠」(根は是れ泥中の玉 心は露を承けて珠を下す)と蓮についての二句を記す。
花朝は陰暦2月12日を花の誕生日と定め、花神を祀り宴を催した。花朝には詩がつきもので、この日には詩文の会も行われた。十二ヶ月の盃には「香」を詠むものが多い。花朝には酒ではなく花を喫したとされるが、茶を喫したあとその芳香が漂う白磁の盃を手に取り光に透かし、手の中で回転させながら絵を眺め余白を眺め、そして詩を楽しんだ。絵と詩・香りまでが掌中杯に一体となって鑑賞された。底裏に「大清康煕年製」の青花銘を記す。驚く程薄く軽量である。高貴の手におさまるのに相応しい。
近時の清朝官窯陶磁の値上がりで市場価格は3000万以上。出光美術館に十二客揃が蔵される。
参照:CQ-082
参照:平凡社版 中国の陶磁J 清の官窯
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