安南(ベトナム)から渡来したやきものの総称として安南焼があり、我国と安南は室町時代の後期から江戸時代の初期にかけて相当の交通があり、この船で運ばれた。中国陶磁には無い侘びた雅趣に富んだもののため茶人間で愛玩され、呉須安南とともに赤絵安南は好まれ、壷や鉢・茶碗の赤彩の色絵物が特に喧しく有名。
紅安南といわれる茶碗は柔らかく焼きあがっているのが特色で釉薬に貫入が入る。口縁は僅かに外反させ高台は高く、高台内に刳りに渦状に刷毛目を残して、鉄渋が塗られている。近時の発掘であるが、赤絵やタンパンの剥けも少なく、綺麗に残っているのが嬉しい。殆どの安南赤絵発掘品は赤絵が落ち後赤絵であり、オリジナルは極めて少ないもの。オリジナルな赤絵は筆の運びがスッキリしており、、柔らかな筆で描いたのか細い線から太い線に持ってくるところが実に特徴的で魅力のあるもの。呉須とタンパン(緑)と赤の絶妙な色合わせも味わい深い作品としている。見込み中央の染付文字は「寿」字が模様化されたもので、もともと中国景徳鎮の14世紀の染付をモデルに連綿と描き続けてきた文字で吉祥を表わしている。
高台内に厚く鉄泥を塗り込めるのはベトナム陶芸が12世紀以来おこなってきた伝統。中国の呉須赤絵の技法でもって焼造している。類品が徳川美術館蔵重要美術品で知られる。 |