CK-035 彩陶舞踏文盆
時代: 新石器時代  、 サイズ: 高さ 12cm×34cm
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中国の新石器時代を代表する彩陶は黄河中流域の仰韶文化半坡期に始まる。これは馬家窯文化の作品。
曲線文・幾何学文を緻密に組合せ、盆の内側に5人の人物が手をつなぎ、歌垣であろう舞踏している姿を描く。舞踏は宗教的な行為であり、新石器時代のアニミズムを表現したものであろう。彩陶は墓葬の副葬品として納められる例が多く、彩陶が宗教的意味を強く持っていた事を示している。仰韶文化は中国最古の農耕文化とされ、主として粟を栽培、豚や犬を飼い、磨製石斧を使い、まだ金属器の無かった時代とされる。
これに続いて黒陶の出土する龍山文化となる。彩陶は窯に入れて焼いてあるので、肌にムラが無く、紀元前3千年すでに窯が有ったということは、いかに中国の文化が古くから発達していたかを物語る。我国に始めて窯が築かれたのは、4・5世紀頃であって、窯の起源も我国は中国に比べ、3千何百年か遅れている。1921年にスウェーデンのアンダーソンにより発見されたこともあり、ストックホルム東洋美術館には4千点近く有る。
新中国となっての出土品が増し、中国古美術の値段も随分下がったが、その中でも彩陶は急降下した品の一つであろう。
紅陶の地に黒の絵具で描かれた曲線文・人物文が擦れも少なく、明瞭であって美しい。外裏側も上部に曲線文が描かれ両側に突起状の持ち手を取り付けている。紀元前3300〜050年の作品とは思えない斬新な図柄であって「人面魚文盆」とともに代表的品であり、アンダーソン土器収集家渇望品。髪を下げた方向から見ると男と見られており、髪がなく腰が丸くなった女が手をつないだ図柄もほかに知られる。
中国陶磁の歴史は古く華やかであって、特に宋の白磁や元の染付などの名品が連なる近世も、一朝一夕に完成したわけではなく、古代からの技術と感性の積み重ねの結果として生まれたものということが理解できる。アンダーソン土器は、甘粛省の蘭州博物館には2000点余有る。陶磁器は中国古代の重要な発明の一つであって、人類の文明史に傑出した貢献を果たした。







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