定窯。
宋代陶磁の中でも一際清冽な味わいを誇る定窯白磁は、宋代随一の白磁の名窯として知られ、中国文人の古器物鑑賞においては官窯青磁と並んで絶対的な美の象徴であった。唐〜金時代を中心に活動した窯。
釉薬は僅かに黄味を帯び、温かみのある牙白色。その釉薬に粘性がある為、釉が流れた痕が屡残り、これを涙痕と呼び見所とする。蓮池の内、番で遊泳する鴛鴦が片切彫りされ、一巾の絵画を見るように生動感ある筆勢は、際立って見事である。鴛鴦は夫婦和合を象徴する吉祥文であるが、そのような意味合いに気付かされない程の自然の描写である。機知ある構図と刻線の妙が観る者の心を陶然境に誘う。近時覆輪装着。
参照 : CW-065 、 CW-043
参照本 : 平凡社版 中国の陶磁D 白磁 |