定窯。
かまぼこ型編覆いを装備した笹葉平底の船に、編み笠・被り物をつけた人物が櫂を操る。船底に水を貯め、船首から注ぐ形式の水滴。船と人物とのアンバランスな寸法対比が微笑ましい。定窯の作品としては、初出資料。
宋時代の文人の高雅な芸術情趣と工匠の絶妙な工芸水準を表わしている。文房用具は実用性と同時に鑑賞性が強調され、場合によっては装飾品となるものもあり、精神的楽しみを得た。時代が下がって、元時代青花船硯滴が同形式硯滴として知られ、また香合で明時代青磁「トキヤ口香合」も有り、北船南馬といわれるほど船での往来が盛んであった身近な運搬船を取り上げ、硯滴とする発想の豊かさは流石である。
紹興の水路には、1000年余経つ今も、まさに同型の渡し舟が見られ、悠久の中国の歴史を感じさせる。
香港著名収蔵家より数年がかりで入手。
参照 : CB-043
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