鬲とは煮炊きに供する3本足の鍋で、足の部分が中空になっているもの。鼎と同様、神や先祖の霊を祭る時、穀物を煮炊きして供える容器。口縁に耳が二つ付き、腹部は張って3本の尖った足を持つ。龍文が獣面の上、頸の下の狭い部分にも帯状に表わされている。中国の青銅器は夏・殷・周の3代約2000年の歴史を有する。二里頭の夏代晩期遺跡(約前18〜前16世紀)から出土した青銅器が現在知られる最古のもの(参照:DK-051)であり、殷代早・中期(約前16〜前13世紀)は青銅器の発展時期で、新しい器形が数多く出現した。祖先や自然の神々、いわゆる鬼神に対する盛んな祭祀を背景に、酒器を主とする祭器の制度が確立し、神々を示す獣面文が主要文様となって装飾は複雑で精緻なものへと発展した。
殷代晩期から西周早期(約前13〜前11世紀)になると青銅器の種類と器形はほぼ出揃い、新たに動物を象った器物が登場する。獣面文をはじめとする文様は空前の発展を示した。西周中期(前11世紀)には青銅器はそれまでの豪華で華麗な器形から簡素で実用的なものへと変化し、文様も簡潔となる。酒器が減少して食器が多くなり、列鼎と編鐘の礼器制度も確立した。しかし西周晩期は青銅器の発展も停滞し、画一化に向かう商代晩期の作品。 |