DK-180 錯金銀象嵌虎鎮
時代: 前漢時代 前期 、サイズ:高さ 5.5cm
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金・銀象嵌による装飾があますところなく施されている鎮。体表面には金と銀による波文と渦巻状に様式化された螺施文でもって薄板象嵌。頭上には赤瑪瑙を、眼は黒瑪瑙を象嵌している。掴み易い形状にまとめ、又席鎮としての用の為重量も必要であって肉厚である。本来は4点一組であったと考えられる。鋭い爪、ほってりと張った胴の様子が簡略の中に熊の生態をよく表現しており、漢代彫刻の力強い造形力を発揮している。緑青色と金、銀の煌きの対比が美しい。鉛をつめる必要ないほどに重量がある。
前漢時代初期には都城に隣接し、宮廷の動物園かつ狩猟地でもあった上林苑は、その規模を増し重要性も高まった。帝国のミニアチュールと考えられたこの園林は、皇帝とその廷人たちが当時知られていた様々な種類の動植物を観察し、それらについて学ぶことができた。又宮廷の娯楽のための狩猟と闘獣の舞台も提供した。このような場所での観察が写実的な彫刻を生む原動力となったのであろう。当時椅子はなく(椅子が一般化するのはやっと宋時代)床の上にマットを敷いて座った。このマットを「席」という。又主人と客との間は一丈(約2m)離すという作法が漢代の「礼記」に書かれており興味深い。日本では腰掛ける風習は明治の世になるまで普及しなかった。漢時代の宮廷や貴族の邸宅では各種の動物を飼育しており、虎・豹も飼っていたと文献に記録されている。

参照 : DK-102DK-080DK-079









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