WS-082 彩漆筆箱・掛台

時代: 前漢時代 
サイズ:高 13.7cm×横 33cm×奥行 9cm 、筆箱/ 長さ 37cm×2.8cm×4.2cm
掛台/ 高さ 10.7cm×33cm×9cm 、 筆 / 長さ 28cm×径 1cm

価格: ¥
筆が納入された筆箱と飾台。木彫の匍匐する、正に虎視眈々の態様。全身雲文・渦文が施され、本来は朱漆で華やかな状況であったが、今は幾分残る状態。
背上に2ヶ所の方形穴が穿たれ、山型受けの有る角棒が嵌め込まれる。そこに長方形状の彩漆筆箱が飾られる。筆箱は薄板で造られ、連続鳥文と角通し文が前後に、側面は渦文を囲む連続菱形文・角通し文が枠縁とともに朱漆で密に装飾される。キャップを外した身部は丸と長方形の穴が穿たれた構造。丸の穴に筆が入り、長方形穴には恐らく木簡が幾枚か納入されていたのであろう。筆軸は黒漆と元に朱漆が施される太い葦製。当時は狼毫であろうといわれる毛も挿入され、実際に使用されていたとわかる。古典には筆・鞘を文官が簪にしていたことが見ることが出来るが、筆の出土例・遺品は極めて稀で貴重。大切な筆を刀飾りと同様な台座(参照:WS-077)に飾ったことが知れる新発見の貴重資料でもある。
今世紀初頭スウェン・ヘディンが楼蘭遺址から木簡121枚を発見した画期的な事件は、それまで文献の記録に見るだけであった紙が普及する以前の書写材料(竹簡木簡)の存在を目の当たりにし得た画期的な発見であった。その後暫々まとまって発見され、古代史解明に貴重資料を提供している。当時漆器は制作費が非常に高く、前漢代の桓寛の「塩鉄論」に、「一個の曲げ物に百人の労力が用いられ、一帖の屏風に万人の労力が費やされる」とあり、その貴重さを想像することができる。








← 木工・石製品 のページへ戻る