龍泉窯。
口縁が喇叭形に大きく開いた荘重な大花瓶。いうまでもなく元様式の大作主義に従って花瓶もこのような重厚な作振りとなった。文様装飾は天龍寺青磁の特性であり、この作品の見所の一つとなっている。主題は胴に表わされた花卉文様であり、櫛目地文に太い釘彫りで菊・枇杷・茘枝・霊芝・桃・花卉の六つの折枝文を刻んでいる。裾には蓮弁繋文、頸には芭蕉葉文と牡丹唐草文、肩には七宝繋文という常套の従文様を巡らす。
本来こうした花瓶は一対をなし、大型の香炉と組み合わされていた。個人の使用というより寺社などの祭壇を飾ったのであろう。時代はもはや加飾なくては済まされない元代後期ならではのニューファッションである。同類品は日本の個人蔵が知られるが、遺品は極めて稀少。インドネシア某島某寺招来。
参照本: 世界陶磁全集L 遼・金・元 、 やきもの名鑑E 中国陶磁 |