耀州窯。
耀州窯は陜西省の古窯で、いわゆる北方青磁を焼いて名高い。この窯が青磁を焼き始めるのは北宋の始めであり、南の越州窯の技術を受け止めつつ、独特のオリーブグリーンに耀く青磁を造り上げた。この皿は北宋も後期の作であるため、窯の陶技はすっかり巧妙・洗練されたものとなり、皿面の牡丹文が物語る通り、流麗な彫法が見られる堂々とした作品としている。
片切彫りがいかにも小気味よいリズム感があり、量産が逆に卓越した技巧を生み出すこととなり、その無心の技は宋代陶磁の基調をなし、技に徹した人間にして初めて可能な境地を示してくれており、それが何とも心地よい。口縁に端反りを付け、高台を小さく・くっきりと削り出した皿の形式は北方青磁独特のもの。釉調が深く、文様全体に一種の躍動感がみなぎり、魅力的な作品としている。
この文様を仔細に見ると牡丹の花弁と葉の表情が同じ箆使いで同じリズム感に従っており、一見すると花と葉とが渾然と融合して不可分の状態にある。慣れきった暢達な陶工の箆捌きは一つ一つのモチーフの特性を捨象して快いリズムの中に溶け込ませてしまっており、耀州窯の陶技がすっかり円熟したことを示唆している。全体に貫入が入るのも美しい景色を添えている。高台の畳付から内側に掛けて赤く焦げるのもまたこの窯の青磁の見所の一つ。
かって汝窯といわれていた品であり、耀州窯の中でも市価の高かった品でもある。
唐代にはまだ少数の権力者にしか賞玩されなかった牡丹が宋代になると洛陽や蘇州など富裕な都市の住民に広く愛好されることとなった。ただ花とだけいえば牡丹をさす場合もあるほど人気も出て、牡丹を「花の王」や「富貴の花」と形容することもこの時代に始まった。宋代の磁器には華麗な中にも一種の寂しく清らかな味がある。釉色もこれぞ耀州窯の最高美色。 |