鈞窯。
青磁などによく見られる袴腰と呼ぶ香炉に似た姿であるが、上方に沿った口や長い頸、あるいは腹部の鈍い局面などによって作られた形は袴腰器が示すような鋭さがなく、重厚な趣が感ぜられる。
鈞窯の製地が華北に属し、袴形の青磁器が華南であったため、同時代のものではありながらも、自ずから地方色があらわれたとも見られる。澱青釉が全体を滑らかに覆い、口縁外側の釉が紫褐色になり、またその内側の縁が黄ばんで見えるのはいずれもその釉が流下して薄くなっているため。鍔状縁から首下へと1箇所紫斑を飛ばしアクセントとしている。
頸の付根や足の付根のあたりの釉だまりには失透釉の宝石のような味わいが良くあらわれている。整った姿といい、紫がかった釉調の見事さといい、出色の作品。
参照 : CC-154 、 CC-176 |