官窯。
口縁五方に刻みをつけ輪花型とした鉢。明るく澄んだ水色の青磁釉がたっぷりと掛かり、その全面に官窯の見所とも言うべき「二重貫入」が現れている。これは何層にも重ねが消された青磁釉が、焼成後冷却してゆく過程で、黒色の胎まで深く届く貫入と雲母片のように浅く入る貫入を生じさせたためで、釉に一層深みのある美しさを与えている。静謐な気品に満ちた碧玉のような幽邃な趣を持ち、威厳と風格が感じられる。
高台内の目跡は見られない極細の鋭い高台畳付は黒赤色に焦げ、いわゆる鉄足。口部は紫がかって見え、いわゆる紫口である。南宋官窯は鉄分の多い黒色の土を用いるから釉の発色が良好な場合でもその色は汝窯の明快なるのと相違し、沈静した碧色となる。
加賀前田家伝来、中村記念美術館蔵「青磁輪花洗」(龍泉窯・水差)が同形状として知られる。
※口縁部極小ソゲ直し。 |