龍泉窯。
小さく正円に削り出された圏足から器側面が外に向かって伸び広がる。そのためにシルエットは直線的に整い、朝顔形である。釉色は濃い青緑色で、中国人の最も評価する翡翠釉。貫入は見られない。圏足の作りは細く、釉際では流れ落ちた釉が厚く溜まり、こよなく美しい。畳付は無釉で灰白色の胎土が見られ、釉際は茶褐色の火色を呈する。
宋時代には飲茶の風が広まり、平碗は天目形と並んで多く作られた形式であり、両方とも托を用いて供された。北宋時代の定窯をはじめ、南宋時代の景徳鎮などでも盛んに作られた形の碗で簡素で適宜な緊張感を保った形姿はまさに宋人の好む作風である。厚い釉だまりは幕釉と呼ばれ茶人の特に好む景色である。
このタイプの茶碗は韓国新安沖の遺物のなかから内面に劃花文を持つものと無文のものとが引揚げられている。日本の伝世品では鹿苑寺所蔵の銘「雨龍」が著名。龍泉窯は宋時代、玉や空の色に譬えられる美しい色と潤沢な釉質の青磁を完成した見本といえよう。
我国では頭に被る笠に見立てて 「斗笠碗」 と呼んでいる。 |