越州窯。
三足の態で支える円板上に縁を取り、縁に13ヶの型押しで抜かれた梅花を貼付けている。この時代、越州という名が示す通り、越の国−浙江省紹興を中心とした地域に起こった窯だが、時代が移るにつれその窯技は江南の各地に伝播し、多くの越州系青磁窯の出現をみた。この地が良質な陶土と燃料に恵まれ、水路による輸送の便にも富んでいたことが原因している。
硯は殷(商)時代にはすでに研墨石があり、最古の例は秦墓出土の石硯が知られる。後漢時代には良質の硯が鑑賞重視されたことが知られ魏晋・南北朝時代には風子硯や円面硯などの瓦硯・陶硯が使われた。梅花の貼付硯は新資料であって、いかにも洒落た華やいだ意匠から女性用であろうか。
かつてこの手の品は墨池がないため硯とは知られず、近年露胎の盤面に墨跡の残るものがまま発見されることから硯とわかった。時代も隋〜唐になると硯面が隆起して傾斜をもち、周囲に墨池ができ獣足も増え多足硯の形式となる。北朝時代の型花文を貼付けた青磁罐が知られるので同時代の品であろう。 |