龍泉窯。
中央部に牡丹花を貼花刻でもって一輪大きく取った巾広部には、半弧状の波涛を印刻する類品を見ない模様で表現している。巾広部は外側に向かい曲線でもって大きく反らしている。裏面は一段と高くなった円弧上部と、縁へ向かってと蓮弁文大きく印刻。釉は美しい青緑色青磁釉であり、闇夜に咲く牡丹のような不思議な雰囲気を漂わし魅力に溢れた作品としている。高台は内刳りの部分に釉がかかる南宋〜元時代の特色。日本に伝来していれば茶方の菓子器として取上げられ、おおいに賞玩されたことであろう。現存する元・明の青磁のコレクションとしてはトプカプ宮殿が世界で最も規模の大きい作品群を収蔵するが、その中にも類品は見られない。元青磁の優品の一つといってよいだろう。近時インドネシア某寺伝来よりの将来である。
南宋末以降、龍泉窯の青磁は、その輸出額が年々高まると共に、龍泉一帯の窯類は多くなり、必然の結果として生産競争が激化。乱作となり、精良の粘渇をきたした。明末には景徳鎮窯に繁栄を奪われ、明末には地方の民窯として保つ哀れな状態となった。牡丹は中国においては、百花の王として好まれ、その容姿の豊かさ、絢爛さから富貴花といわれ、又、長安と並称される古都である洛陽が牡丹栽培で知られたため洛陽花とも言われる。 |