龍泉窯。
磁胎に浮牡丹をあしらい瓢形につくられている。もとは花瓶ではない可能性もあるが、日本の茶人が好んで花瓶として取り上げている。粉青色に仕上がり、型抜きで作った牡丹の花と葉を粘土紐で繋いだ唐草文が全体をゆったりと美しく装飾している。近時、龍泉市郊外穴蔵より出土。
瓢箪は蔓が盛んに伸びて次々と実をつけそれぞれの実には多くの種があることから子孫万代の繁栄をあらわす。日本に伝わる同形瓶は畠山記念館の蔵品を始め、大小数点知られるが、浮牡丹の文様もやや硬く、元時代中〜後期の品がほとんどであり、南宋時代の品は稀少。古くから栄えた貿易港、温州の港にそそぐ欧江の上流の山奥が青磁の故郷竜泉であり、他の景徳鎮や磁州の窯が町を中心としてそれほど広い地域に広がっていないのに比べ、ほぼ150キロに及ぶ山岳地帯にわたって窯跡が散らばって分布している。
景徳鎮が色々の磁器を焼いたのに比べ、青磁のみを焼いていた事には驚く。人工の玉を理想とした中国人の青磁器への好みが存分に発揮された優品といえよう。胴に貼花された牡丹唐草の文様は描いたように暢のある大らかさをもち、明時代のそれのように形式化しておらず、宋時代に究極的に完成されたといえる。 |