龍泉窯。
本来穀物を納めて墳墓に埋葬する副葬用の明器。大きく膨らんだ胴部には浮牡丹の貼花、肩から頸にかけて一方には龍、他方には虎と犬を堆塑でそれぞれ表わしている。龍虎は四方を司る四獣神の二つで、墓中では龍のついた瓶は東側、虎のついた瓶は西側にそれぞれ納められる。伏せ蓋には羽を広げた鳥と犬を象った紐がそれぞれついている。淡灰白色の素地に灰青緑色の半透明釉が掛かり美しい。このように一対として残っているのは極めて珍しく、デイヴィッドコレクションの一対が知られる程度。胴部はかって蓮弁文が彫られた品しか知られておらず、浮牡丹は初見。
日本では「幡龍壷」と呼ばれている。
蓋上に鳥・犬が表わされた形式はすでに北宋時代、越州窯で多嘴壷・長頸瓶が作られており、南宋時代龍泉窯の長頸瓶にも見られる。近時南京郊外墓より出土。
日本では従来浮牡丹唐草文の青磁は宋時代のものとされてきたが、現在では宋末〜元初と修正されている。
※注・・「窖蔵」とは侵略者による破壊・略奪を逃れるため、洞窟などに隠す中国独特のもの。1900年に発見された敦煌文書も同様の形態と言えよう。 |