景徳鎮窯。
チキンカップの俗称で名高い。成化闘彩磁器は明代に極めて高い評価を得ており、万暦の書物に既に「成窯の酒盃は毎対銀百金を博するに至る」と述べているし、中でも特別鶏文杯を評価していた。子母鶏が躍々として描かれていることを賞玩するのであろう。青花の細い線で文様を表し、澄んだ味わいの上絵の具で彩色を加えてあるが、その筆致は繊細を極め、また上品な趣がある。
底裏中央に「大明成化年製」の青花楷書二行銘。成化時代真品は世界に20点余残るのみといわれ、数年前オークションに出品され、日本円で約4億5千万円で落札。現在又売りに出れば中国パワーの強力さから推測して恐らく10億を越す値段であろう。これほど小さな作品への中国人の深い思い入れは、外人には理解しがたいものがある。バウワーコレクションの貴重な一品が大阪で展示中、神戸大震災で修復不可能な破損となったことも記憶に新しい。
評価の高い雍正闘彩官窯の倣作品でも現在3500万余の評価。成化闘彩の中でも最も珍重されるのが「鶏図杯」であり、その次に高士図杯・葡萄文杯が続く。本品は清朝末(19世紀)の作品。 |