磁州窯。
箱型の台をもつ如意頭形の枕の上面に、縄で杭につながれた棍棒を突いて二本足で立ちあがる熊の姿がユーモラスに描かれている。芸をする熊の図とする説もあるが、「ろう(縄の意味)」と「英」「熊」と「雄」の中国音の共通性と熊の立っている姿を合わせて「英雄独立」の語呂合わせと解する説もある。「如意」とは僧侶の説法や法会の際に持つまごの手形の棒のことで、「如意頭形」はその頭の部分を象ったもので、如意(意の如し)という名前から願いがかなう意味の吉祥形として好まれた。北宋後期から金代の磁州窯ではこの形の枕がよく見られるが、吉祥的な願意の文様を伴なうものが多く、夢が叶う枕といった意味が込められていた。
同品は大英博物館蔵品が知られ「白地黒掻落し鵲文枕」(出光美術館蔵、参照:CJ-139)と共に陶枕収集家垂涎の品。
香港収蔵家に鑑せられてから、数年がかりの懇情で我手できた喜びは大きい。
大英博物館に有れば億単位もする作品が何十分の一で入手できるという、中国古陶磁蒐集の大きな楽しみの一つといえよう。
参照 : 神品とよばれたやきもの 宋磁展 、中国名窯名瓷シリーズC 磁州窯 |