CJ-107 白地黒掻落牡丹文瓶
時代: 北宋時代(12世紀)  、 サイズ: 高さ 43cm×胴径 21.5cm
価格: \
磁州窯。
細く伸びた胴には小さな口縁が付く、いわゆる梅瓶形の器形。文様は白地を効果的に生かし、その上に菱形に整えられた牡丹の折枝が上下二段にバランスよく配された繊細な構成で、整った器形と相俟って気品のある美しさを漂わせている。白地黒掻落は灰色土の素地に白化粧を施し、さらにその上に鉄絵具(黒化粧)を掛け、掻落しや線彫りの技法で文様以外の部分の鉄絵具を削り取って白地を出し、透明釉を掛けて焼成する。白地に黒の文様が浮き上がる印象的な装飾で、北宋後期の磁州窯で盛んに用いられた。

文様より白地のところがはるかに多く、また牡丹の折枝の文様自体、中々複雑なものであるから、掻落しはそれだけ根気のいる仕事だったに違いない。格別洗練された意匠であるが、この芸術味を深く理解できるのは宋磁をこよなく愛し、多くの優品を将来してきた日本人の感性が一番であろう。宋磁の名品である。本当に美しい・素晴しい・欲しいと思った時に手に入れる時は値段の高低に迷わない。良い物を手に入れた、持った喜びが胸にくる。ああ良かった、嬉しいと思うものだ。
類品は永青文庫蔵が名品として知られ、白鶴美術館の白磁黒掻落し龍文瓶と共に磁州窯製品唯二の重要文化財。香港著名収蔵家より数年がかりでの入手。

参照本 : 神品とよばれたやきもの 宋磁展








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