極めて良質な白玉製。紐のち龍は威風堂々力強く鋭い彫刻。湿潤による風化で透明感有る白玉に白濁部が広がり美しい。「松雪印璽」と読める。
南越王墓では、王衣と共に玉剣・玉辟・玉ハイと玉印璽九点も出土しており、玉印の位の高さは金印の上。
乾隆帝は、周王朝の25代にわたる長い治世になぞらえ、印璽の数を25点に限定「二十五宝璽」という玉印を造っている。京都藤井有燐館には双龍を鈕に彫り「十全老人之宝」と蟠龍の鈕をもち「康煕御筆之宝」と印面に刻した玉璽とが蔵されており、数千年と続いた攻玉の伝統を継承している玉璽としての重厚な品格を感じさせるものがあるが、細密な彫りとなって精微にすぎ、本品のようなち龍の活動感が薄らいでいる。
本物の品だけの持つ玉製品に共通する材料の硬さを感じさせない柔らかさ・巧みさを備えている。玉が道徳と情操を象徴し、黄金が車やマイホームなどを象徴しているという点を鑑ると、今日の玉の地位は黄金には及ばないであろう。
素朴でありながら上品な玉を通じて古代人の品性を見知ることが出来る。そしてきらびやかな黄金には我々自身の姿が見知れるといえまいか。 |