定窯。11世紀前半の作品。
象牙白色の美しい焼き上がりの水注で壁画資料などから、もとは被せ蓋と承盤を伴なっていたと思われる。龍首形の注口は、祖型となった金属器の名残を感じさせる。肩と胴の蓮弁文は平鑿で削り出した鎬と線彫とで浮き彫りに表されており、ゆったりと、しかし厳しい刻は品格があって美しい。ギメ美術館に名品として知られる、肩が蓮唐草文で胴は蓮弁文の同類品が収蔵されているが、全体形状・龍首の造作等はるかに本品の方が優れた作行きを示している。
龍の口から嘴状の注口ののびる形式は、10世紀に生れたもので唐時代晩期「褐釉水注」が知られる。定窯は鉢・皿・碗が最も多く、洗・水注はやや少なく、大型の壷や瓶の類は極めて稀。佳品である。獅子紐の被蓋があったと遺品から知れる。白磁も青磁と同じく、中国人が創始した東洋独特の焼物であり、西洋人がこれに驚き、蒐集に熱中し、ついで何とかして東洋のような磁器を作りたいという競争が欧州各地に起こった。そしてドレスデンで初めて成功したのが1809年。中国では六朝時代から白磁は造られ西洋よりも1200〜1300年古いわけである。如何にも宮中の御器に相応しい特色を具備している。俗に我国では水注と呼んでいるが、中国では酒注として作られたもの。香港著名収蔵家旧蔵品。
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