鳳凰の背に四神を透彫りした円筒を乗せ、傘型蓋が付く。全体に羽毛が細刻され、尾羽には緑松石・玉髄が、眼には黒瑪瑙が嵌め込まれている。傘型蓋には雲文が細刻される。
前漢の初め、香炉は宮中や王室に秘蔵された高級な香を焚く器具であり、香料はいずれも長い道のりを運ばれてくるものであったため、非常に高価で皇帝と諸侯王だけが楽しむことができた。前漢の中期になると香を焚く風習がより広く貴族階層に流行し、彼らが使用した香炉の造形は皇帝の香炉を模倣したものになった。
戦国〜前漢時代に成立し、後漢にかけて流行した東西南北の守護神の象徴である四神は東の青龍、南の朱雀(鳳凰)、西の白虎、北の玄武(亀と蛇が絡み合ったもの)の四方を象徴する動物。漢代の宮殿の多くで四神の姿を装飾としているのは天神の加護を請うため。厚い鍍金が美しく富家の作品。
巧妙な設計・精巧な鋳造技術・華麗な装飾は、漢時代の薫炉の傑作であり、貴重な新資料。近時天水郊外墓出土。 |