一匹の龍が鈕の回りに体をうねらせている。鱗で覆われた体には如何にも躍動感が溢れている。上に浮き上がっているのは蝋型鋳物ならではの表現法といえる。「新唐書・地理志」によると唐代に貢納品として鏡を献上していた。地区は江蘇省揚州に山西省併州の2ヶ所で、揚州からの献上品に盤龍文の鏡があり、玄宗皇帝がこれを珍重したことが他の文献に記されており、白居易も「新楽府・百練鏡」でその輝きを讃えている。この盤龍鏡の類鏡には外区に千秋の銘を持つものがある。
玄宗の誕生日(千秋節)に四品以上の臣下に下賜した鏡は龍鏡であったことが知られており、まさしくこの型式の鏡に相当しよう。八稜の切込みは鋭く、文様は精緻で鋳上がりが良く、白銅の輝きも美しい佳品。
玄宗の誕生日の11月5日は祝い事の日となり、この日は初め「千秋節」といった「千秋万歳」の意で、天子の長寿を寿ぐものであるが、後には「天長地久」(天は長く、地は久し)の句に基づき「天長節」と呼ぶようになった。宮中で百官に宴を賜り世間一般にも宴楽させたので、都には一日中喜色が満ち溢れた。 |