四葉座を持つ鈕の回りに大きな方格があり、その四隅に小さな葉形が三つ分かれしていく。四辺からは2つづつ麦穂文が出ている。普通、草葉文鏡と呼び慣わしているが、正確には何を意味する文様なのかは不明。神仙界に属する神々や霊獣に満ち溢れた漢代の鏡背文様の中で、このような植物的な図案は例外的と言える。
漢の時代になると青銅器は廃れ、陶器や漆器にその地位を奪われていく。唯一残ったのは鏡だった。漢代の鏡は死者と共に埋葬された。鏡は魂が昇天する道を照らす役割があると考えられていたので、鏡の背面には神仙の世界が鋳込まれている。
外縁の連弧文と内区の乳形滴形部には緑松石が嵌め込まれ、黒地との対比が鮮麗。深く鋭利な彫りも美しい。
銘文は各辺2字「大明・天下・○○・之○」。
草葉文鏡は主文と地文を明確に区別して稜鈕をもつ戦国鏡から主文のみを表現する漢鏡への変化を示す重要な鏡式といえる。 |