DK-372 青銅鍍金神樹
時代:商時代(前13〜11世紀)三星堆文化 、サイズ:高さ 50cm×幅 19cm×奥行 19cm
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この世の中心軸にあって天と地を結ぶ巨大な樹木は「生命の木」、或いは「世界樹」と呼ばれ、世界各地の創世神話の中に残されている。三星堆祭祀坑から出土の高さ384cmの巨大な青銅製樹木もまた中国の古代神話に残る聖なる樹木、すなわち神樹を表現していると考えられている。山の形をした台座からは1本の太い幹が伸び、幹には9本の枝がある。全ての枝先に花と花の蕾にとまる鳥・剣の形が装飾されている。根本には、幹に身体を絡ませる龍の装飾が施されている。

中国には十個の太陽が代わる代わる世界を照らすという「十日神話」がある。古代の神話を記した「山海経」には「九日は下枝に居り、一日は上枝に居る」とあり、九つの太陽は「扶桑」の樹に留まり、順番になると鳥の背に乗り天に昇って世界を照らすという。神樹は巨大仮面や人頭像と並んで三星堆の特殊性を象徴するものであり、三星堆二号祭祀坑からは大小樹木が数点出土している。
鳥や樹木を用いた稲の豊穣儀式が現在でも中国南方の少数民族の中に残されており、稲作文化との関連性も考えられる。神樹に関する謎は多いが、神樹からは大自然の中に聖なる存在を感じ取り崇拝していた三星堆の人々の精神を読み取ることが出来る。このような古代の文明の残映は、四川独自の文化が中原文化との融合によって次第に消滅していく漢代以降の揺銭樹にも現れている。そのような用途で作られたのだとすれば、これは最古の揺銭樹といえよう。古代の貨幣である貝殻の形をした飾りが数多く出土していることから、当時の人々は銅銭の代わりに貝貨を掛けたのかもしれない。台座・鳥には鍍金が施されている。

三星堆出土の巨大神樹の幹の先端は欠落してかって鳥がいたかどうか不明と報告しているが、本作品でもって同様な鳥がいたと知れることも貴重資料。神樹・立人像・仮面・人頭像といった神殿に置かれたであろう一群の青銅器から、殷王朝には全く見られない祭祀体系があったと推測できる。

参照 : DK-349
参照本 : 三星堆 中国5000年の謎 驚異の仮面王国









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