中央に付く鈕は前足を前方に出し、後足を畳んだ伏獣形。鈕座は無く伏獣鈕の周りに張り巡らされた葡萄唐草の中に9体のへい猊3羽の鳥を配する。へい猊は様々な動きをしている。界圏帯外側の外区は全体に葡萄唐草文・へい猊・鳥が、縁部は小花文が装飾される。
海獣葡萄鏡の文様構成は種々のバリエーションが有るが、本作品の文様構成は極めて珍しい。質が良く鋳上がりも鋭く文様表現も軽快華麗で、葡萄の果実と葉の表現は一つとして同じ形が見当たらないほどに個性的に描かれ、蔦草も単純な突線のみではなく、二重線や断面凸状の線を交えて変幻極まりない20cmを超える海獣葡萄鏡は稀少であって、市価も一段と高いもの。白銅鏡が持つ硬い銀白色の質感に比して、本鏡は表面は鉛色に近い灰色を呈しており、鉛の含有量が多いことを示している。聖地で躍動感あふれる文様構成となっているところに、国際色豊かで活力に溢れた唐文化の特色を見て取ることが出来る。
参照 :DK-339 |