唐時代には香料・練り薬等を容れる盒が種々の形状(円形・方形・菱形・花形・貝形)で制作された。蝶型であって表裏共、同意匠。枠を取り中央には蜜蜂を大きく、周囲は細い唐草文を浮出し、空間には鎮珠という1mに満たない極小金粒を埋め込む最高峰の技術で製作されている。蓋・身の合口上下にも花紋を浮出し、空間は鎮珠で合口を始め全体の外周囲は縄目細線を貼付け一層豪華さを増している。又両蓋・身の内側中央にも表面同柄の蜜蜂を浮出しており、2枚の薄板を合わせて製作された大変手間のかかる仕事がなされている。銀製盒はまま見られるが、本品は鎮珠という特別高度の技法を施した製作により、相当の豪族、貴族夫人の持物としれる。唐草・鳥・蜜蜂等、海獣葡萄鏡にみれる如く、いかにも唐らしい華やかさ美しさを堪能させてくれる作品。24純金製。
本品は唐題前半期の秀作であるが、唐代後半には江南地方が唐王朝の経済基盤を支えるようになり、それと関連して銀器生産も江南が主流となっていった。
金銀器は唐代には宮廷や上流階級を中心にとりわけもてはやされ金・銀色の織り成す光輝く鮮やかな彩りや、異国趣味が反映された斬新な意匠は唐代文化の精髄が凝縮された器物といえ、唐人の豊潤かつ高雅な精神世界の様相を垣間見る事ができる。
近時洛陽近郊墓出土であって、同墓より唐三彩の優品も多数出土。 |