仏教の僧具である錫杖は道を行くにあたって携帯する杖。インドでは山野遊行のおり、毒蛇害虫を防ぐためこれを鳴らして歩いたと言うが、法界や乞食の際にも用いる。又、仏像では千手観音・地蔵菩薩などの持物。石突きの長い杖の先に付けたものと、短い棒先につけたものとある。頭の中心に宝珠・双竜・五輪塔・三尊仏などを飾ることがある。日本では奈良時代の鉄錫杖が正倉院に、清水市鉄舟寺の康治元年(1142)銘で平安時代の品。四国善通寺空海請来の伝承を持つ唐時代、3尊と四天王を表わす錫杖が国宝として知られる。本品は左右の蓮枝蕾に支えられ、蓮台上に阿弥陀如来が大きく乗り、頭には五輪塔が配された類品を見ない形式。左右に付けられていたであろう丸輪6ヶは紛失している(古い形式は丸輪が一鋳でなく嵌め込みの為紛失しやすい)が、あるいは儀式用として最初から無いものであった可能性もある。部分的に泥銹が付く。砂張質の銅味も魅力ある味わいとしている。左手半分が欠損。大振り豪華な造りから見て、実用品と言うより祭祀儀式用象徴品と思われる。多重高層塔は中国で創造された形態。 |