鏡の裏面は中央部に三弦鈕があり、その周囲を円形の鈕座が二重に囲んでいる。周縁はヒ面で、その内側に弦文が二週巡る。花菱文状帯が囲む4ヶ所の内には武人と獣と戦う狩猟文を描く。2人の武人は肌脱ぎに裸足の様相で、右手には剣を持ち、左手には盾を持つ。その姿はまさに二匹の猛獣(虎と豹)と格闘せんとする緊張感に溢れている。武士闘獣文で地文が細かい点で表わされた鉤連雲雷文を配している品は知られるが、三階菱文は稀少。極めて抜けも良く、錆味も美を損なわない程度であって美鏡。山子文の変化形、又は省略形であった可能性もある。
中国の鏡が使いやすい四角形でなく、円形に作られてきたのは、それが単なる姿見ではなく、天や太陽の象徴物ゆえである。背面から一部割れ傷が入っているが離れてはいない。 |