CB-327 青花蓮池魚藻文壺
時代: 元時代(14世紀)  、 サイズ: 高さ 29cm×胴径 33cm
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景徳鎮窯。
魚藻文や蓮池文は元時代の染付に好んで取り上げられた題材であり、同時代に江南地方で行われていた民間画工のレパートリーとの関連が論じられている。 ただし、この壺に描かれた文様は水注の景と水上の景が巧みに組み合わされており、絵画をそのまま引き写したのではなく、当初から器物の装飾文様として構成されていることが分かる。蓮池や魚の図には豊穣や子孫繁栄などを願う吉祥の寓意が託されており、それゆえ絵画と器物の文様に共通の題材が選択されたと見るべきであろう。

絵画との関連という点では画題よりも、むしろその表現が注目される。魚の姿や藻の形に見られる誇張された強い形態は元時代独特の表現であり、文様相互が重なり合うことによって造形的に関連付けられている。そして口縁の動きを持った波濤文、肩部の律動感のある唐草文と相呼応して、周り灯篭のように場面が展開する効果を生み出している。元染付の魅力が卓越した筆線の力にあることを雄弁に物語る優品。

参照本: 染付 藍が彩るアジアの器 、美の求道者 安宅英一の眼 − 安宅コレクション












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