王禔（1880～1960）
原名は壽祺、字を維季・福ろと號した。自ら印俑とするが如く、古印の収蔵･研究に励んだ。書は各體を善くし、、金文の臨書等は殊に有名。篆刻は秦漢を宗とし、生涯に刻した印は2万余方に及んだ。西冷印社創設者の一人（24歳の折）
側款は「筆研精良人生一楽」で印面と同文。「福厂製」。漢印・漢の金文に造詣が深く、厳謹工穏・淳古蒼蜜の趣きを兼ね備えた独特の風格を成し、朱白文・多字文と傑作が多い。
篆刻は書法と彫刻を兼ねた芸術であって、漢印の芸術性は非常に高く学ぶものは多く模範としている。
田黄は福建省の壽山で産出する最高の印材であり、今は故宮蔵乾隆帝の田黄三連印が著名（溥儀が持ち出し、旅順の収容所で供出するまで身辺に置いていた）。
本品は透明感･潤い光沢のある田黄。明の万暦時代田黄は同重量の黄金を上回る価格であって、乾隆帝が使用した印璽・印材は田黄と鶏血石が多い。（現在では良質の田黄は、同重量の金以上の値） |
