蓋上には二頭のち龍を高浮彫りし、上に天禄が乗る。側面・上面縁は鋸歯文が線刻される。研見部は段差を取って円形に側面を作る。前方に耳杯型墨池を備え、人物の四足で飾り、底裏には蓮弁文を刻している。蓋裏と底裏には蓮弁文を刻している。蓋裏と底裏は亜研磨せず、他は艶が出る程の磨きが施されている。硯面は相当の使用痕で、大きく凹面となる。(実際墨はよくおりる)熊足でなく、人物足は珍しく、風貌から北魏人とみれる。
拓跋族の北魏は、漢人に北荻と蔑まれていたが、これほどの豪奢な硯を使用するということは質の高い文字文化があったことを示唆している。精緻な作硯であり、硯職人が彫技に腕を競った様が偲ばれ、余程の貴人か権力者の為に造られたものであろう。類品は見ず、貴重な古代文房資料。
参照 : WS-074 |