馬は木の丸彫り(足・首は別作り)、騎士は別作り。馬体には黒漆を施し、上に雲文を褐色漆で馬具・眼・口・耳・足爪には朱色漆を施す。騎士は手綱を構える姿で鞍上に跨り、顔面・首のみ木地を残し、全面黒漆、その上に朱・褐色釉でもって彩色する。
馬は西域将来の汗血馬を思わせるが如く精悍。騎兵用の馬であるため、牽引馬に比べて足が長く、鐙から首のラインが鋭角。漢代は鐙が使用されておらず、足で馬の腹を押さえて制御した。銅車場俑群に見られるように、数十体の儀杖車場行列の一体。同形状の多くは青銅又は陶器で造られているが、長江中流域の楚の地域は豊かな森林資源を背景に、漆の特産地として発展。漆器で多くの製作をしている。
ボリュームと力強さ・艶やかな黒漆の表面に彫り跡が味わい深く浮び上がる。古代木彫像の傑作といえる。曾公乙墓や馬王堆漢墓など楚の伝統を受け継ぐその頃の墓から副葬品として数多くの漆器が出土している。近時湖北省武官近郊墓出土。
参照 : CK-053
参照本 : 中国・美の十字路展 |中国美の粋 中国歴史博物館名品展 | いま見ても新しい古代中国の造形 |