CT-019 もの売り胡人俑
時代: 初唐時代  、 サイズ: 高さ 25cm
価格: \
胡人が行李を背負い、腰を曲げて歩くこの形の俑は侏儒俑と同様、唐時代の俑の中で特に好まれ市価も高い品。胡人である事・動きのある俑である事で芸術性が高いことからであろう。箱型の荷を2本のたすき掛けで背負い、右手でしっかり紐を押え、左手には水瓶を持ち、腰をかがめ踏み出す一瞬の表情をとらえている。本体、荷・顔・手の部分は鮮やかな加彩。ズボンの墨彩と同様、眉・眼・髭は墨書きされていた。
胡人と言われるソグド人は東西交易の商人として活躍。100万都市長安の太平の世を彩った人々であって、胡人にエキゾティシズムを当時の人も感じたのであろう。洛陽博物館蔵に同型品が知られるが、本品の方が遥かに美品・優品であることが嬉しい。ソグド人は生まれた子の口には蜜、手には膠を与え、口からは甘言、手には金銭が入るように願ったという程商売上手であった。
顔つきから老いた胡人にも見え、腰を曲げて歩くさまに、そこはかとなく哀愁が漂う。
死者への贈り物にこれを選んだ時代の精神にも興味ある問題が潜んでいるようだ。

参照 : 中国・美の十字路カタログ







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