世界の壺の中で、最も美しい壺の一つと言われる万年壺。白化粧され、その上に掛けられた透明の基礎釉に緑釉が焼成時に溶け合い、このように見事な線条に流れて独特の美を生み出した。
釉による装飾を完成した盛唐の陶工による華やかさと美しさに満ちたエキゾチックなデザインと高貴な輝きが相俟った貴族の理想美を表わしている。張り詰めた緊張感の見事に膨らんだ胴と、宝珠紐蓋のラインも美しい曲線を描き、陶器ならではの動きのある魅力的な意匠となっている。死後の永遠の食料を蓄える壺と考えられ、俗に「万年壺」と呼ばれる。白地の上に不規則に流れる釉は、陶器ならではの動きのある魅力的な意匠となっており、優美で格調高い作品としている。
出光美術館に蓋無しの類品が知られるが、本器は共蓋であり貴重。静嘉堂文庫美術館蔵品は唐三彩万年壺唯一の重要文化財。香港著名収蔵家旧蔵品。
参照 : CS-083 、 CS-080
参照本 :
・ 平凡社版 中国の陶磁B 三彩
・ やきもの名鑑E 中国の陶磁 |