静かな笑みをたたえた丸顔で、右手に鳥をとまらせる樹下美人式型づくりの俑。胸元までの裾の長いスカートは黄釉、短めのチョッキは緑・白釉で彩られ、一際大きく左右に突き出し高く結った髷は大きなリボンで花結びされている。大きく先の反った沓先は緑釉・白釉が掛けられ、髻と眉・眼には朱彩が施されている。今に残るこれらの遺品から、鳥・狆などを富女子の間ではペットとしたことと知れる。
瑞々しい表情と気品に溢れ、鳥が顔を見やる表情も生々とする造型は極めて魅力的である。豊満な女性の容姿が好みとなった盛唐期には、ゆったりとした服飾が流行し始め、中唐以後はその傾向は一段と進んだ。俑は唐墓の墓室を華やかに演出するためになくてはならないものであり、貴族・官僚の喪葬にあたっては必要な三彩の明器がけん官署から供給または下賜された。つまり冠位によって唐三彩明器の数を制限されたと考えられている。
唐代婦人の髪形と服装を研究する上でも貴重資料。女俑中の優品というべきであろう。近時洛陽郊外墓出土。
参照 : CS-105
参照本 : 中国古陶磁 上 |